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2020-06-17

公会堂時代

1927(昭和2)年11月、豊平館の北側に附設して新公会堂が完成し、豊平館は昭和の始まりとともに新しいスタートをきります。公会堂とは豊平館と新館を併せた名称でしたが、別々に分けて呼ぶこともありました。市民が待ちこがれた公会堂は、開館早々から盛況を呈していました。1933(昭和8)年には明治天皇行幸のゆかりの聖蹟として、豊平館は史蹟に指定されています。
※1948(昭和23)年に史蹟指定は解除されています

豊平館北側に設置された公会堂(1927) 札幌市公文書館所蔵

戦争と豊平館

1941(昭和16)年に太平洋戦争が始まると、1943(昭和18)年に豊平館は札幌に置かれた陸軍北部軍の占有となり、営業は一切中止されます。戦争終了後、豊平館は進駐軍に接収され、各部隊の宿舎にあてられます。1946(昭和21)年には、進駐軍が三越札幌支店を接収したため、その代替として三越が豊平館で営業を行いました。札幌市に豊平館が戻ったのは、1947(昭和22)年10月のことでした。戦後の社会教育の推進は豊平館の公民館機能を高めさせ、1948(昭和23年)2月に札幌公民館として再出発することとなり、さらに1949(昭和24)年9月には札幌市民会館と改称されました。

豊平館(望楼から)(1951) 札幌市公文書館所蔵

中島公園への移築

1956(昭和31)年、市民会館を改築し、市民の文化活動の総合センターとする運動がおこり、札幌市もこの要望に応え新しい市民会館を建設する方針を固めました。新しい市民会館は豊平館がある敷地を建設地にしたため、この時すでに完成から76年の歳月が過ぎた豊平館を取り壊すか保存するかの議論となりました。市民や学識経験者から貴重な建築物を残そうという意見が多く寄せられ、移築保存が決定しました。豊平館は1958(昭和33)年5月、ここ中島公園に移築保存されました。

豊平館の解体(1957) 札幌市公文書館所蔵

結婚式場としての活躍、 そして現在へ

移築後の豊平館は、1958(昭和33)年から開催された北海道大博覧会の郷土館と美術館に約2ヵ月間利用され、この開催終了をもって総合結婚式場として開館しました。初めて行われた結婚式には、当時の市長が祝辞を述べ、新郎新婦と共に豊平館の新たな出発を祝福しました。1964(昭和39)年には重要文化財として国の指定を受けます。豊平館は由緒ある結婚式場として多くに人に親しまれ、1967(昭和42)年頃までは年間1,000組以上の挙式が行われるほどで、市内で最も多く利用される式場でした。1980(昭和55)年には創建100年を祝う記念式典が開催されました。1982(昭和57)年度からは、5ヶ年の年月をかけて修復工事が行われました。さらに2012(平成24)年から2016(平成28)年3月まで、耐震補強を含む保存修理や、新たに附属棟設置などの活用整備工事などが行われました。これらの工事の中で、建設当時の姿へと復原も進められ、現在は集客交流施設として活用しています。

結婚式場利用申し込みの様子(1964) 札幌市公文書館所蔵

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