座談会第2回

・なぜ一回目の試験を受けられたのですか?
また受けてみた感想は?

なぜ一回目の試験を受けられたのですか?
また受けてみた感想は?

大西

ではこれまでお話しいただいたことと少しかぶっているかもしれませんが、これまでインスペクションのことを御存じだった方も、そうでない方も「どうして、記念すべき1回目の試験を受けてみよう」と思われたのでしょうか?また試験を受けてみた感想なども、おひとりおひとりに聞いてみたいと思うのですが。

鹿嶋

私の場合はうちのカミさんがテレビを見ていたときにちょうど「ワールドビジネスサテライト」で、試験のことを紹介していて、それで、2階から1階に突然呼ばれて、「受けなさい」と。

大西

奥様の意見は絶対ですか?(笑)

鹿嶋

絶対ですね(笑)。

大西

実際試験をうけてみて、印象はどうでしたか?

鹿嶋

自分はタイミングがよくて、去年実は二級建築士をとったんですが、ちょうど学科の勉強をしていたんです。あと、現場から不動産営業に移ったばかりで不動産の勉強をしつつ、まだ現場の知識も忘れていなかった、という3つの要因が重なって。この試験のために勉強したのは参考図書の性能評価解説の方(※1)の現況調査の範囲だけであとはその時の自分の知識ですね。

大西

終わった後も手ごたえありましたか。

鹿嶋

建築のところは大丈夫だと思いましたが、劣化診断などのところはよくわからなかったので亀裂のところとか、やっておいてよかったなぁと思いました。

大西

菅さんはいかがですか。

さくら事務所さんの動きなんかは面白いと思ってときどき情報を見ていたのですが、たまたま試験申込み締め切りの1週間か2週間前にホームページを見たら、試験をやるというのを発見して、「なんだこりゃ!」と即申し込み。ギリギリでしたね。

大西

受けてみた感想は?

技術的なところはまあまあ、戸建ても大工さんの手伝いとかが好きでやってたので意外と大丈夫、ただ不動産取引の法律的なところとかは、実務をやっていないのでちょっときつかったかなとは思いました。

大西

昨年、第1回目を受験された方で建築士や施工管理技士の資格をお持ちの方も多かったのですが、一級建築士をお持ちの方でも結構、試験駄目だった方もいらっしゃったんですよね。 やっぱりインスペクションって業としてやっている方がまだまだ少ないし、劣化の診断のところなどは難しいというか、なじみの薄い部分だったみたいです。 あと取引の現場に入っていくので、取引そのものに口は出さないものの、知っておいた方がいいというところもあって不動産系の問題も試験に含めたのですが、そこも建築系の方にはとっつきづらかったようです。

印象としてはほかの試験に比べてかなり幅広いなと。

大西

範囲が広かったという声は確かに多かったです。

それが特色で、一級なにがしを持っている方でも落ちたということはそういうことですね。

田中

私が、なぜ1回目を受けたかというと、だいたいこういう試験は1回目が一番受かりやすい、という考えがあったからですね(笑)。おそらく範囲は広くなると思うものの予想がつきやすいのが一般的なので、まあ大丈夫だろうという軽いタッチで。

私は宅建やコンサルなど金融系が専門。なので不動産系のところはするする解けるのですが、建物のことはよくわかっていないので参考図書2冊、フラット35の仕様書(※2)と現況調査(※1)のを買いました。先に現況調査の方、高い方を買いましたよ。高いものを買えばあきらめないだろうということで。3回くらい読んで、これは結構いけるかなと思ったんですが、次にもう1冊を読み始めたらなじみのない言葉も多く、これは大変だと思って電車の中で5回くらい、大きな本なんですけど、あれを3つくらいに分割してテープでとめて電車の中で広げて読みました。

それでも試験を受けた帰り道は「もうダメだな」と思って飲みに行きましたね。はたして私は何点で受かったのでしょうかという感じです。

大西

私も今後の参考のために「難しかったのか」とか「範囲がどうだった」とかいろんな方に聞きましたが、そんなに勉強された方の話は初めて聞きました。 今の公認ホームインスペクターの中にも、あれを5回読んだという方はいないのではないでしょうか(笑)。

田中

一級建築士レベルの知識がないとダメとも受験案内に書いてあり、勉強しなきゃだめだと思ってがんばりました。

内山

僕の場合はまあ1回目が楽だろうということと単純に好奇心ですかね。受けてみた印象は建築系の方は大丈夫かと思いましたがやはり不動産の方はとっつきにくかったですね。事前講習をその場で吸収して受けたような状態でした。おそらく不動産の方は点数が低いんじゃないでしょうか。

大西

お話を聞いていると皆さんの点数を見てみたくなりましたね(笑)。

市川

採点って足切りがあったんでしたっけ?

大西

はい、項目ごとに足切り点があって、実は40点取った人でも落ちた方もいるんです。(昨年度の合格ラインは39点)。だから皆さんはバランスがとれていたということですね。不動産も建築もまたがって幅広く理解している方でないと難しい仕事なので、賛否両論ありますが足切りをもうけさせてもらっています。

だとしたら僕らすごいですね(笑)

大西

そうなんです(笑)。

市川

間違いかなと思っちゃいますね。僕は実は試験のために特に勉強したということはなくて。

大西

ほかになにか資格をお持ちですか?

市川

ホームインスペクター試験の少し前に「雨漏り診断士」を受けたのですがそれが結構劣化の話や、ジャンカから水がしみるだとか、ホームインスペクターの試験内容とリンクする部分が多かったのがよかったと思います。また普段の業務では木造関係の工務店さんと設計施工について話をすることが多いのですが、その中で知識が身についていたのと、木造工法仕様書(フラット35)(※2)を常に参考にしていたというのも良かったと思います。

あと、宅建関係も仕事には関係ないのですが興味の範囲で「宅建速聴」なんかを通勤電車で聞いたりしていたので、まあそのへんもカバーできていたといいますか。 やはり営業マンとはいえ、ある程度、技術的な知識も必要ですので。

変に偏っていないのがいいんでしょうね。

大西

市川さんが第一回目を受けた理由は?

市川

皆さんと同じでやはり合格率が高いと思ったからですよね。

大西

そう考えて受けていただいた方も多かったのですが、
予想外に合格率が低くなってしまいました(笑)。

それだけ、未知数のことが多い試験だったということですが、 今年は去年のそういったご意見を受け、参考図書出版や、試験ガイダンス(8月25日開催予定)も準備し、受験に向けて勉強していただきやすい状況を整えてみました。 詳しくは協会HPをご覧いただければ。

■文中の参考図書
※1:建設住宅性能評価解説 2008 (既存住宅・現況検査―一戸建の住宅編)
※2:木造住宅工事共通仕様書 平成20年改訂(全国版)
ページの先頭へ